せどりをしていると「キャッシュフロー」や「利益」という言葉をよく聞くと思います。
この「利益」というのは、その月の売り上げに対しての利益なのか、キャッシュフローとしての手残りを利益としているのかは、曖昧なところがあります。
ほとんどの人が「売り上げに対する利益」にばかり意識が向いていると思いますが、本当に重要なのはキャッシュフローとしての手残りがあるかどうかです。
というのもクレジットカードで仕入れをしていると、仕入れ代の支払いは後になってやってくるので、Amazonからの入金のタイミングを考えないと、最悪お金が減ってしまうということになるからです。
本記事では、せどりの必須知識である「キャッシュフローと利益」について実例で解説したいと思います。
Contents
キャッシュフローと利益について実例で解説
キャッシュフローと利益について実例で解説します。
売り上げに対する利益とは
例として私の2020年6月のAmazon実績です。
売り上げが250万円で、利益78万円です。(経費が未入力ですが4万円かかっています)
ネット上ではこの売り上げに対する利益が強調されることが多いです。
売り上げに対する利益は、せどりをしていく上で1つの指標ではありますが、この利益だけに意識が向くのはよくありません。
というのも、利益が78万円でたからといって手元に78万円残るでしょうか?
私も含め、ほとんどの人の答えは「NO」だと思います。
これは売り上げに対しての利益が78万円というだけであり、手元に78万円が残ったというわけではありません。
キャッシュフローとしての手残りとは
Amazonせどりをしていて、クレジットカードを使った仕入れをしていれば、売り上げに対する利益と手元に残るお金の額に違いがでます。
ここで意識しなければいけないのがキャッシュフローです。
Amazonせどりにおいてのキャッシュフローは以下のこと。
当月のAmazonからの入金 - 当月のクレジットカードの引き落とし額(先月の仕入れ代+経費)
この結果が、手元に残るお金ですね。
クレジットカードで仕入れをしていると、当月のクレジットカードの支払いは、基本的には「前月の仕入れ代+経費」になりますよね。
そのため「当月の売り上げに対する利益」と「キャッシュフローとしての手残り」に違いが出てくるわけです。
先ほど紹介した売り上げに対する利益は78万円でしたが、実際に手元に残ったお金はいくらなのか、ざっくりですが実際の数字で紹介します。
【2020年6月のキャッシュフロー】
- Amazonからの入金が161万
- クレジットカードの引き落としが95万(5月の仕入れ代90万+経費5万)
手残り:161万 – 95万円 = 66万円
6月に手元に残るお金は66万円になります。
私は専業なので、ここから生活費や税金を払っていくわけですね。
売り上げに対しての利益は78万円ですが、手元に残るお金は66万円と大きな違いがあります。
売り上げに対する利益しか見ていなくて、キャッシュフローとしての手残りを意識してない人は意外と多いです。
クレジットカードを利用した仕入れをしている場合、この違いを意識することが非常に重要になってきます。
重要なのはキャッシュフロー
売り上げに対する利益だけを重視しているとNGな理由を解説します。
仮にですが、5月の仕入れと6月の売り上げが以下の場合を考えてみます。
5月はクレジットカードで150万円仕入れたとすると、6月の支払いは150万円。
6月のAmazon売り上げが250万円(利益78万円)で、入金が161万円。
「仕入れ金額の引き落とし額」と「Amazonからの入金額」を計算すると、手元に残るお金は11万円ということになります。
Amazon入金額161万円 – クレジットカード支払い150万円 = 11万円
利益78万円に対して、手元に残るお金はたった11万円です。
この数字をみてどう感じるでしょうか?
ちょっと寂しいですよね。稼いだ気にはなれないと思います。
仮に専業せどらーだとしたら、生活できるレベルにないですよね。
さらにですが、5月の仕入れと6月の売り上げが以下の場合を考えてみます。
5月はクレジットカードで200万円仕入れたとすると、6月の支払いは200万円。
6月のAmazon売り上げが250万円(利益78万円)で、入金が161万円です。
どうなるかは、もうおわかりですよね。
さすがに「利益78万円だ、やったー!」なんて言える状況ではないです。
「仕入れ金額の引き落とし額」と「Amazonからの入金額」を計算すると、、、
Amazon入金額161万円 – クレジットカード支払い200万円 = -39万円
利益は78万円出ているのに、手元からはお金が39万円減っていることになります。
こういったキャッシュフローは最悪な状態です。
この状態が続いて、支払いや返済にあてる現金が無くなると「黒字倒産」ということになってしまいます。
売り上げに対する利益よりも、キャッシュフローを意識しなければいけないことがお分かりいただけると思います。
INとOUTを意識すること
キャッシュフローを考える上で大事なのは、次の2点を把握しておくことです。
- 来月はクレジットカードの引き落としがどのくらいあるか
- そしてAmazonの入金がどのくらいありそうか(入金額は直前までわからないので、ある程度の予測になります)
まずクレジットカードの引き落とし額ですが、これは把握しておくことができます。
例えばですが私の場合、7月は約139万円(6月の仕入れ133万円+経費6万円)の引き落としがあります。
次に把握しておかなければいけないのが、7月のAmazonからの入金がいくらになるか。
※昔からAmazonせどりをしている人は、入金タイミングを自在に調整できる人もいるかもしれませんが、ほとんどの人は2週間に1回かと思います。
そして当月のAmazonからの入金は直前までわからないので、ある程度の予測で判断するしかありません。
私の場合、7月の1回目の入金は約100万円が確定しています。
少なからず、2回目の入金が39万円はないと手元からお金が減ってしまうことになります。
ただし考えなければいけないのが、専業せどらーの場合は生活費や税金を考慮しなければいけないので、プラマイ0でもアウト。
2回目の入金は90万円は欲しいところ。
仮に7月の入金額合計が190万円(100万+90万)の場合、7月の手残りは51万円になります。
90万円の入金が欲しい場合、2回目の決済期間の2週間で120万円くらいの売り上げが必要となってきます。(※決済額への反映タイミングによってズレはでてきますが)
ここで資金のある人とない人ではやるべきことが異なってきます。
資金力があれば2回目の入金が多少は少なくても問題はありません。
しかし、手元の資金に余裕がない人は、生活費を残すために何がなんでも目標の入金額を達成する必要があります。損切りしてでも現金を確保する必要が出てきます。
こうしたお金のINとOUTをしっかり把握しておくことが、せどりをしていく上では重要となってきます。
また、1日〜月末までのいわゆる月商は1つの指標ですが、決済サイクルに合わせた売り上げの方が大事なのがわかるかと思います。
【例外】拡大フェーズの場合はキャッシュフローが悪くてもいい
初心者せどらーの場合など、せどりの規模を大きくしていく場合には、キャッシュフローが悪くなってもOKです。
例えば、10万円の仕入れをして、キャッシュフローとして手元に5万円が残る場合、この5万円を次の仕入れ資金に回します。
手元に残る5万円を仕入れ資金に使ってしまうわけですから、手元にお金が残らないのと同じですよね。
しかし、5万円を仕入れ資金に追加したことにより、翌月は15万円の仕入れができます。
仕入れ額が増えたことで、売上も上がり入金が増えて、プラス10万円手元に残るとします。
その10万円をさらに次の仕入れ資金に回す。
これを繰り返していくことで、せどりの規模を拡大していくことができます。
せどりを始めた頃は、手元にお金が残っている気がしないというのは、規模が拡大しているためよくあることです。
ある程度の規模になったら(自分が目標としていた数字)、ここからは仕入額を増やさず、手元にお金を残しながらせどりを展開していけばOKです。
もちろん、すべて次の仕入れに回すのではなく、少しは自分のために使いながら徐々に規模を拡大していくといった感じでもいいでしょう。
ここは個人の考え方によります。
Amazonせどりのキャッシュフローで注意すべきこと
Amazonせどりをしていると、不意に入金が少なくなるといったことが起こることも。
そのため、最低でも1~2か月分の資金余力を持っておくべきです。キャッシュフローギリギリでせどりを展開していると、何か起きたときに対応しきれません。
私が実際に経験したことでもありますが、以下の点には注意しておきましょう。
引当金が取られることがある
Amazonせどりは4年ほど行っていますが、とある日から振り込み予定額が一定額で止まってしまうという現象が起きました。
何かの不具合かなと思って、Amazonに問い合わせてみると、どうやら引当金として保留されているようです。
ここで「引当金とは何か」について簡単に説明しておきます。
引当金とは、マーケットプレイス保証申請や払い戻し(チャージバック)、返金が必要な場合などに備えて、Amazon側が十分な資金を確保するため、注文の売上金を該当注文の最新のお届け予定日から7日間経過するまで留保される金額です。
簡単にいうと「お客さんからの返品・返金などに備えて、Amazon側であなたの売上金を一時的に預かりますよ」といったお金です。
7日間の留保期間の後、アカウントの残高がプラスの場合は、次の決済日に売上金が支払われるといった感じです。
引当金を取られたらその引当金の分は、次の決済に回されてしまいます。
詳しくは、こちらのリンク先に記載されています。
もし、キャッシュフロー的に毎月ギリギリで運用していた場合は、かなり厳しい状態になるかと思います。
私のアカウントは、パフォーマンス健全性も問題ありませし、引当金が発生する一般的な理由に該当する事象は見当たらなかったので、原因は分かりませんでした。
テクニカルサポートへの問いわせた回答としても、
引当金のヘルプを見て、対応できるところはしてください
といった感じの回答でした。
私が引当金にされた額としては、入金予定額の約5割。
入金予定額の半分が引当金として、入金を保留されてしまいました。
例えば、60万円の入金予定だった場合は、30万円が引当金として保留されるため、30万円は入金されることはありません。
せどりの規模が大きければ大きいほど、ダメージは大きくなります。
資金に余力がないと、けっこうエグいことになりますよね。
Amazon出品アカウントを作って間もない人は引当金を取られる場合があるとネットの情報にはありましたが、4年目の私でも引当金を取られる事象が発生したので、油断はならないと思います。
ちなみに1か月くらいで解除されました。
半年とか長々と引当金を取られている人もいるみたいなので、原因も良く分からないですね。
クレジットカードを更新したときに、Amazon出品アカウントのカード情報を更新し忘れる
せどりをしていると、クレジットカードの利用金額が大きくなるので、クレジットカードのグレードアップもしやすいです。
クレジットカードのグレードを上げると、クレジットカード番号が変わってしまいます。
このときに、Amazon出品アカウントに登録しているクレジットカード情報を更新しないと、入金されなくなってしまいます。
理由は次のとおり。
Amazon側としては、クレジットカードに紐づいている銀行口座が有効かどうかを判断するために、クレジットカードに小額決済を行って確認しているため
そのため、無効なクレジットカード情報だと、口座に売上金が振り込まれなくなってしまいます。
私もクレジットカード番号が変わった際に、Amazon出品アカウントの更新を忘れ、過去何回か入金が次に回されてしまったことがあります。
クレジットカードを新しくした場合は、出品アカウントに登録しているクレジットカード情報を更新し忘れないようにしましょう。
振り込み障害
2021年9月には、売上金の振り込みが行われず次回の決済に回される、という事象も起きました。
何とも理不尽な対応ですが、出品者側としてはどうすることもできずAmazonに合わせるしかありません。
まとめ
せどりの必須知識である「キャッシュフローと利益」について実例で解説してきました。
実は私もせどりをはじめて長い間、キャッシュフローについては全く意識していなくて、毎月利益も出ていて在庫も増えているからOKと思っていました。
しかし、どうも手元にお金が残っていないなということが度々ありました。
それは、売り上げに対する利益にばかり意識が向いていて、キャッシュフローを意識していなかったからです。
キャッシュフローを意識していないと、本記事で紹介したように、
- 手元にお金があまり残らない
- 支払いの方が多くて、むしろ資金が減ってしまう
といったことにもなりかねません。
「今月の利益30万円達成!」と言っても、手残りが全然なかったり、むしろマイナスだったらほとんど意味ないですよね。
せどりにおいて「キャッシュフローを意識することは最重要」と言っても過言ではないので、意識していなかった人はぜひ意識してみてください。
健全なキャッシュフローを保つためにも、以下の2点が重要です。
- クレジットカードの引き落としがどのくらいあるか
- Amazonからの入金がどのくらいありそうか
これらを管理できるかできないかで、仕入れ内容にも影響してきますし、せどりは全く違うものになってきます。
キャッシュフローをしっかり管理して「手元にお金が残っているか」を意識してみてください。
キャッシュフローについては理解できたけど「なかなか手元にお金が残らない」といった方は、こちらの記事「せどりでお金が残らないときに見直すべき7つのポイントを解説!」も参考にしてみてください。見直すべきポイントを解説しています。
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